子犬物語。
「泣くなよ。ガキの泣き声はうるさくてたまらない。いいか? お前だってあの時おれが通ってなかったら今頃はあの野犬の腹の中だったかもしれないんだぜ? それを考えるとお前はラッキーだったわけだが……辛いだろうが事実なんだ。黙って受け止めるしかないだろう」

 真実。
 その言葉が胸に響く。
 ママにミルクをもらうとき、他の兄妹に負けていつも最後に飲んでいたいちご。箱の中で体験した嵐、ずぶぬれになりながら一生懸命ママを呼び続けたいちご……。
 ごめんね。
 メロンは何の力にもなってあげることが出来なかったいちごに対して、申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになっていた。

「落ち着いたか?」

 顔を覗きこまれてうんと小さく頷く。
 一呼吸置いてから、

「いいか? 泣くなよ?」

 もう一度念を押して、ようやく前足を口からどけてくれた。

「………」

「………」

 メロンにとって今は沈黙が痛かった。頭の中はいちごのこと以外考えられなくなっていた。

「やっぱり信じられないよ。本当に、本当にいちごは死んでしまったの?」

「おれの口からはっきりいってもらいたのか? それでお前は満足できるのか?」
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