子犬物語。
 畳み掛けるように問われてうつむいたまま大きく首を振る。どうにもできない気持ちのやり場に困って、それが違う形として溢れでる。
 じわぁ。
 涙に、なる。
 ぼやけていく視界に、猫の茶色い姿も見えなくなっていく。

「なっなんだお前は」

 静かに泣きはじめるメロンに、狼狽した猫が数歩後ずさる。

「泣くなっつーたろうが!」

「だ、だって、もう二度と会えないんでしょう? ひっく、ママも……みんなぼくの側からいなくなって……ひっく……ぼく、一人ぼっちになっちゃうよぉ」

 涙がポロポロ毛を濡らし、玉になった涙がコロコロと毛の上を滑って、やがて滴になり大地に落ちていく。

「ふん、結局は一人でやっていかなきゃなんねぇんだ。丁度いいだろう」

 甘ったれたメロンの言葉に、少しバカにしたような口調でやり返す。うなだれて泣くばかりだったメロンは涙をためた目で、猫を非難しにかかる。

「なんだよっあなたには関係ないことでしょ! 慰めてくれるならともかく、どうしてそんなに冷たいこというの!? 冷血漢‼」

「なにぃ!? 冷血漢だとぉ? お前にそんな風にいわれる筋合いはねぇぞっこの乳臭いガキがっ!」

「うっ……うううっひどいよぉっ何だよ何だよ何だよっぶえーーーーーーんっ」

 声を張り上げ、鼻水はダラダラ。本格的に泣き出してしまった。こうなるともうしばらくは止まらないだろう。猫はうんざりとした顔で、

「だぁぁぁぁっうるせーっ勘弁してくれぃ!」

 両手で耳を押さえその場にうずくまってしまった。
< 18 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop