ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー
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 夕食が終わり、食器を片付け、ジアは意を決してランに声を掛けた。

「ラン。」
「あー?どうした、姫さん。」
「訊きたいことがあるの。」
「よーやくオレの出番か、待ちくたびれたで。」
「え?」
「えらい熱心にシラやウルアに話聞いとったってラビがゆーとったからな。それでようやく、オレの番っちゅーわけやな?」
「…そうね。最初からランに話を聞いてしまったら、それで終わりになっちゃうでしょう?」
「…挑戦的な目やな、初めて会うたときから…。」
「生ぬるい人生じゃなかったもので。」
「まぁそんな怖い顔せんで、まずは背中に乗りぃや。」

 強い風と共に一瞬で龍になる。見るのは2度目だが仕組みが全然わからない。

「生まれたときからすぐ、龍の形をとることができたの?」
「いーや、龍になるんはなかなか大変なんや。せっかくやし、いい景色見せたる。はよ。」

 ランに促されてジアは龍の背中に乗った。今回はシラがいない。足場の不安定さに恐怖心がつのる。

「俺の頭に角あるやろ。」

 丁度掴めそうな大きさの突起が2つある。

「これ?」
「そうや。そこ、しっかり掴んどき。まぁ、この前よりスピードは出さんけど。」
「う、うん。それでお願いします。」
「んじゃ、行こか。」
「うわ!」

 スピードは出ていないかもしれないが、龍の背に乗るという経験がほぼないに等しいため、いつどこに体重を寄せるべきか全くわからない。手を離したら確実に落ちる気がする。

「もっとゆっくり!」
「これが飛べる一番最低のスピードや!」

 山の上を目指して、ぐんぐん上がっていく。この風の量に怯みながらも、角を握る手に力を込めた。
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