ハルアトスの姫君ー龍の王と六人の獣ー
「その後のオレの怪我の手当ては、どっから仕入れた知識や?」
「基本は…火傷の手当てだけど、あとは、みんなの力を信じただけというか…。」
「あぁ、あの姫さんの妹?」
「うん。ミアの魔力は治癒に特化してる。それがなければ、無理だったと思う。あとはクロハ。基本的な治療の知識はそこをあてにしているよ。俺は治療のプロじゃない。」
「お前は使えへんのか、魔法ってやつ。」
「使えるよ。でも、ミアみたいな魔法は使えない。」
「なるほどなぁ…魔法っちゅーやつにも色々あるわけやんな。まぁ、姫さんも魔法使って助けてくれたみたいやし。」
「うん。…そもそもジアがあの時、時を止めることができなければ、ランは助からなかったかもしれない。」
「おっかないこと言うなぁ。しかし姫さんが時間止めるっちゅーんは…。」
「誰にもできない、魔法。ジアだから使える、高度な魔法。」

 ランはそこで足を止めた。振り返ると、広場の半分くらいが見える。

「上まで行きたかったけど、まぁ今日はここで勘弁してな。」
「俺はどこでも…。」
「キース。」
「…?」

 黄緑色の目が、生気を取り戻している。初めて対峙した時のような挑戦的な目ではなく、真っ直ぐに、熱を帯びて。

「ありがとうな、真っ先にこれを言わな、オレはお前と同じ立場にすら立てん。」

 『こんなこと言わされるんは癪やけどー』なんて続くが、それもランの性格を思えば、出てきそうな言葉だ。

「えっと…うん。元気になってくれて、よかった。」
「ちゃうやんか、こういうときの言葉。」
「え?」
「ありがとう、つったら、どういたしまして、やろ?」
「どう、いたしまして。」

 ランは不思議な人だ。少なくとも、キースはそう思う。
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