恋愛渋滞 〜踏み出せないオトナたち〜
*
「検事長の倉田……だと?」
『はい。昨日になって急に、牧原検事に証拠品を渡したそうです』
覆面パトカーの車内で、今度は津田が豪太から報告を受けていた。
彼は夏耶の捜索のため、朝から三河に関係のある場所を片っ端から当たっている最中だった。
「怪しいな……三河とつながりがないかどうか、調べてみる」
『お願いします……確固たる証拠もなしに“捏造”の件を追及するのは、いくら相良さんでも無理があるので』
「ああ……できるだけ早くなんとかする」
津田は豪太との通話を終わらせると、すぐに署内に残してきた信頼できる同僚に連絡した。
「……俺だ。ある人物について調べて欲しい。今すぐにだ」
(アイツなら、五分……いや、三分で欲しい情報をくれるはず)
腕時計をにらみ、いつにも増して険しい顔をする津田。
そんな彼をバックミラー越しに見た運転席の若い後輩刑事は、不謹慎だとわかっていながらワクワクしていた。
上司から“この事件のことをあまり深く調べるな”と言われているのに、それを無視して一匹狼的な行動を取る津田は憧れの刑事。
そんな彼に、たとえ運転手役だとしても“一緒に来い”と声を掛けられ、彼が感激するのも無理はない。
そうして三分が経とうとした頃、津田の携帯が音を立て、彼は即座に電話に出る。
「早かったな。……何が分かった」
『わー、プライベートな電話には絶対出てくれないくせに、事件のこととなると早いわねぇ。教えて欲しかったら、今度デートして?』
「ふざけてる場合か! ……さっさと情報を言え」