恋愛渋滞 〜踏み出せないオトナたち〜
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「……おせぇな、報告が」
三河はソファで貧乏ゆすりをしながら、スマホを見つめていた。
豪太からの一度目の電話があってから、すでに一時間以上が経過している。
「先生の扱う裁判が簡単に終わるわけがありません。きっと、検察側の立証の穴を見つけているはずです」
夏耶が毅然とした態度で言い放つと、彼はスマホを彼女の方に投げつけた。
「うるせーんだよ!」
「痛っ……!」
スマホは当たらなかったものの、咄嗟にお腹をかばう姿勢を取った夏耶が、うずくまったままでうめいた。
「……当たってねぇだろうが」
「違います……お腹が……」
「めんどくせーな……便所か?」
三河は仕方なさそうに夏耶のもとにしゃがみこむ。
そして彼女の腕と脚を縛っていた縄をほどいたが、夏耶は立ち上がるどころか、倒れるようにして床に寝転んでしまった。
「おい……そんなに痛いのか?」
苦しげにぎゅっと目を閉じる夏耶に、三河がそう問いかけたとき――。
――ピンポーン。
彼らのいる部屋のチャイムが鳴らされ、三河がびくっと肩を震わせた。
「……誰だ?」
とりあえず夏耶をそのままにして彼がキッチンにある壁のモニターを覗くと、そこに映るのはスーツ姿の二人組。