恋愛渋滞 〜踏み出せないオトナたち〜
「…………っ」
がくっとその場に膝をついた三河に、津田が手錠をかける。
そして、立たせようとしても放心状態でその場から動こうとしない三河に、彼は静かに告げる。
「……今頃、法廷じゃお前の父親の不正を相良桐人が暴いてる頃だろう」
「そんな……なんで。検事長に逆らえる奴なんて……」
「フン……どうやら居たみたいだな。とにかく、あの弁護士を敵に回したお前の負けだ」
「……くそ……っ」
二人がマンションを出ると、そこには津田の乗ってきた覆面パトカーの他に、救急車が到着していた。
夏耶は自分の足でしっかりと歩き、そこに乗り込もうとしていたところだったが、津田の姿に気付くと慌てて駆け寄ってきた。
津田は後輩刑事に三河を引き渡し、夏耶と正面から向きあう。
「助けて頂いて、ありがとうございました……!」
ぺこりと頭を下げる夏耶に対し、津田は静かに首を横に振った。
「……いや。この場所を見つけ出すのに時間がかかってすまなかった。でも、まさか犯人の元から逃げ出そうとするとはな……さすが、相良の部下といったところか」
「すいません……勝手に危ないことして」
申し訳なさそうにする夏耶だが、津田は彼女を責めずに、顎で救急車の方を指した。
「無事だったんだからいい。……それより、さっさと病院で診てもらえ」
「はい。でも、たぶんどこも何ともないですし、その前に……」
「ああ、法廷に連絡か。確か、傍聴席にもうひとり、相良の部下がいたんだったな……」