恋愛渋滞 〜踏み出せないオトナたち〜
しばらくして豪太が席に戻ってくると、麻衣子が彼に尋ねた。
「どれくらいですって?」
「五分で来れるそうです」
「五分……? 俺が日本を離れてる間に、ピザのデリバリーって進化したの?」
さっき電話したばかりなのに、いくらなんでも早すぎやしないだろうか。眉根を寄せる桐人を、他の三人がクスクスと笑う。
「……ああ。お前のいない間に、ピザ屋は瞬間移動を使えるようになった。こう、人差し指と中指をそろえて眉間に当ててな」
「……悟空?」
「違うわよ、とうとうどこでもドアが開発されたの」
「まだ21世紀ですけど」
くだらない会話に突っ込みながら、津田って冗談を言うタイプだったのかと桐人は内心驚いていた。
常に仏頂面でいるのが当たり前だと思っていた彼の態度が、今日は妙に柔らかい。
(そっか……この二人……)
親しげな空気感から何かを感じ取った桐人は、ひとりにんまり笑って津田をちらりとのぞき見た。
その視線に気づいた津田が、眉間に皺をよせいつもの怖い顔に戻って桐人を凄む。
「……なんだ、にやにやして」
「いえ別に。ただ、津田さんも人の子なんだなーと」
「どういう意味だ」
津田の言葉には返事をせず、桐人は彼の隣にいる麻衣子に興味津々で尋ねた。
「……津田刑事のこと、どうやって手懐けたんですか?」