指先からはじまるSweet Magic
「だって、圭斗君なら女の子選り取りみどりなのに、草食っぽくて勿体無いな、って思ってたから。でもそっか~。草食じゃなくて、好きな子には積極的になれるんだね」

「ちょっ、……香織っ!」


面白そうに囃し立てる香織に、私の方はもう完全に茹でダコと化していた。
気持ちはいっぱいいっぱいで、どうしていいかわからずに、ジワッと涙が浮かんでしまう。


「私は、どんな顔して圭斗と会えばいいのか、わかんないのにっ……」


そのまま泣いてしまいそうになって、私はテーブルに手をつくと、俯いて肩を震わせた。
向かい側から、香織がジッと私を見つめている。


「け……圭斗がなんで私にあんなことしたのかわからないから、知りたくて。なのに逆に、どうして拒まなかったんだなんて責められたら、もう訳わかんなくて」


感情がお腹の底からせり上がってくる。
それを必死に押さえ込みながら、私は頬に一筋伝った涙を手の甲で拭った。


泣いているのを誤魔化すどころじゃない。
ただ、声に涙が混じらないように堪えるのが精一杯で、私は大きく息を吸って一度言葉を飲み込んだ。


そんな私に、香織は小さな息をつく。
そして、


「里奈」


静かに私を呼びながら、軽く向かい側から覗き込んで来た。


「どうして圭斗君が……って考えるよりも、まずは自分のことちゃんと考えてみるべきだよ」


静かに諭すような口調を向ける香織に、私は鼻と口を両手で押さえたまま目線だけを向けた。
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