指先からはじまるSweet Magic
立ち尽くしたまま私を見つめる圭斗の代わりに屈み込んで、大きくてずっしりと重い花束を拾い上げた。


「あ……。ごめん」

「ううん。はい」


拾い上げた花束を、身体を起こしてから圭斗に差し出した。
受け取ることを忘れているように、私を見つめ続ける圭斗に戸惑う。


「……圭斗」

「里奈。どうしてここに?」


圭斗の戸惑いも、当たり前なのかもしれない。


今日までずっと顔を合わせることもしなかった。
その上、私は顧客じゃないんだから。
今このタイミングで訪ねた私の行動の意味を、圭斗は勘繰ってるんだと思う。


私は俯いてグッと唇を噛んでから、思い切って空いた片手をバッグの中に忍ばせた。
そして、香織から借りたハガキを圭斗の前に突き出す。


「あ、ああ……」


半分惰性で私の手からハガキを受け取って、圭斗はぼんやりと眺めた。


「そっか。香織ちゃんから聞いたのか」


ヒラッと裏返して表の宛名に目を遣ると、圭斗は納得したように小さく頷いた。


「忙しいのに、わざわざありがとう」


そう言ってはにかみながらも、圭斗の瞳はまだ私を探っている。
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