指先からはじまるSweet Magic
何の意味もない行動だったけど、そんな反応をされると恥ずかしい。
しかも、今の今までの会話が私達にとっては相当微妙なものだったせいで……。


お互いになんとなく気恥ずかしい空気に耐えきれず、一度目線を彷徨わせた後、圭斗はちょっと困ったように笑った。
その笑顔に、私も思わず吹き出してしまう。


「……ごめん。でも、圭斗はお客さんを気持ち良く綺麗にしてあげるのが仕事だもんね」

「それもまた言い方に語弊がある」

「間違ってないじゃない」

「……まあねえ」


フウッと小さく息をしてから、圭斗はすっと真剣な表情に戻って、再び私の頭に手を伸ばした。
そしてリズミカルに指を動かし始める。
その絶妙な力加減と繊細な動きは、仕事で疲れた私に最高の癒しを与えてくれる。


私はまだ顔に笑みを残したまま、再びゆっくり目を閉じた。


と言うか。
私は話をするつもりで来たのに、どうしてこんな快感に身を委ねているんだろう。
< 8 / 97 >

この作品をシェア

pagetop