指先からはじまるSweet Magic
人気ファッション誌で見開き巻中を飾るほどのイケメン美容師の圭斗は、私、青木里奈(あおきりな)の幼なじみだ。


私より二ヵ月早く生まれた圭斗は、私が生まれた時からのお隣さんで、相当幼い頃は、ママゴトも鬼ごっこもお姫様ごっこも、いつも圭斗と一緒だった。


小学校も中学校も、その上高校まで同じとこに進学しちゃって……なんというか、どこに目をやっても、いつもそこに圭斗がいた。


おかげで、知られたくないことまで圭斗にはほとんど筒抜けだった。


初めての彼氏が誰かも知られているし、ファーストキスの相手も圭斗は知ってる。
そして、多分……初体験が何歳の時かってことも勘付かれていると思う。


だって、私も知ってるから。圭斗の恋愛遍歴を。


親同士が仲がいいせいで、どうしたって切っても切れない関係。
微妙なお年頃の時は、圭斗の存在を変に意識して、よそよそしくなったりもした。


そのまま疎遠になっていたかもしれない関係が変化したのは、高校卒業後の進路が全く別方向だったからだと思う。


そこそこの進学校に通っていたのに、圭斗が選んだ進路は、美容師の専門学校だった。


やりたいことが自分でもわからないまま、周りに流されるように大学に進学した私とは全然違う。


美容師資格を得て私よりちょっと早く社会人になった圭斗は、二十八歳を迎えた今、青山の超有名ヘアサロンのトップスタイリストに君臨している。


私の方は普通に一般企業に就職した。


普通にスーツを着てオフィスに出向いてパソコンに向かって仕事をする。
それが極普通のことだと思っていたし、周りの友人も、みんななんの疑問もなく就職していった。
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