アサガオを君へ
なにそれ。


前は美味しくなかったってこと?


ジロッと私が叔父さんを睨むと、それに気付かない叔父さんは夏樹のお弁当を覗き込んだ。


「あれ?夏樹のお弁当、俺のと違う」


夏樹は少し鬱陶しそうに眉をひそめて、叔父さんをチラッと見る。


私は自分のお弁当のおかずをつつきながら言う。


「夏樹のだけ入ってるもの違うの。嫌いな食材多いから」


「心」


ビクッと体が震えた。


今まで無言を突き通していた栄治が、いきなり私を呼んだから。


じっと私を見てから、ニコッと笑った。


「飲み物ちょーだい」


笑ってる。


笑ってるのに。


何でそんなに悲しそうな顔するの?


私は隣に置いてあったペットボトルを掴んだ。


< 164 / 224 >

この作品をシェア

pagetop