アサガオを君へ
一斉に走り出す。


私もグッと大きく一歩を踏み出した。


暑くて、しんどくて、倒れてしまいそう。


少し進んだだけで、どんどん呼吸が乱れていくのが分かる。


私の前には、すでに人がたくさんいる。


それでも、私は全力で走り続けた。


一瞬、夏樹の方を見たくなったけど、見なかった。


しっかり前だけを見ていた。


そして、次の走者にバトンをパスしたとき。


思わずその場で座り込んでしまいそうだったけど、私はグッと重たい足を歩かせて運動場から出た。


誰も私がいなくなったことなんて気付いてない。


もう、みんなの視線は今の走者に釘付けだ。


私は文句無しの最下位を走りきった。
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