アサガオを君へ
運動場を出てすぐのテントの近くに、アッキーがいた。


ジッと私を見ているアッキーの視線を振り切るように、私は走った。


夏樹、夏樹のところに行かなくちゃ。


それしか私は頭になかった。


さっきみたいに渡り廊下から保健室に行こうかと思ったけど、焦ったくてそのまま走り続けた。


保健室の窓から夏樹の影が見えた瞬間、グワッと一気に血が上った。


上がると体温と比例するように、走る速度も加速していった。


窓の前にたどり着いたときには、完璧に息は上がっていた。


肩で息をしながら夏樹を見つめると、無表情の夏樹がそこにいた。


私は乾ききった喉をヒュッと鳴らしてから、笑った。
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