アサガオを君へ
どんどん目が慣れてきた。


私はぼんやりと見えるアッキーの目を見つめて言った。


「何で怖いって知ってるの?」


「夏樹から聞いた」


その言葉を聞いた瞬間、おじさんに殺意が芽生えた。


言わないでって言ったのに…。


夏樹には絶対に内緒にしてって言ったのに…。


バレたくなくて。


夏樹がいるときには、停電が起きても震える体を抱きしめながら必死で我慢した。


私の目が暗闇に慣れたように、アッキーも私の表情の変化が見えたらしい。


アッキーは少し考えてから言った。


「そのときのこと教えてくれへん?」


「……あのとき中学生だった」


いじめられていた。


無視されて、気持ち悪がられて。


それは私に協調性が無いからだ。


夏樹以外どうでもいい私は、本当にいつだって夏樹だけだった。


誰に話しかけられても、ただ答えるだけ。


自分から近寄ろうともしないし、話しかけることも無い。
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