アサガオを君へ
気持ち悪いくらい、夏樹を見てた。


気持ち悪いくらい、夏樹に付いて回っていた。


それは誰が見ても一目瞭然だった。


だから、私は誰にも相手にされなかった。


ただ1人を覗いては。


アッキーは久しぶりに笑いながら言った。


「女やな。お前は、女との相性悪いからな」


私は首を振りながら言った。


「違う。男の子なの」


そう、男の子。


松崎くん。


今でも覚えてる。


意地悪そうな顔。


私の髪の毛をよく引っ張る、大きな手。


私のことをからかう、変声期を迎えたばかり独特な声。


みんなの人気者だった。


明るくて、運動ができて。


私に唯一、話しかけてきた男の子。


私を唯一、手を出していじめた男の子。
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