かぐやの月
「あそこです、かぐや隊長」
指し示されたその先には、偵察に行っていた2人と呼びに行かせた部下の合わせて3人が敵と囲まれているところだった。
「放て!」
大飛鳥にまたがったまま上空から敵に弓の雨を降らす。
「隊長、助かりました。これはいったい」
「すべて千歳の里が仕組んだ罠だった。急ぎ銀司の所へ向かう。・・・平太のその肩の傷、深いわね」
「いいえ、大丈夫ですから急ぎましょう」
「ダメよ、出血だけでも止めておかないと」
かぐやの部下とは言え、単なる上の命令でいやいや付き従っているものもいるだろう。
しかし、腹の中ではなんと思われていようが自分の部下を守らなければならない。
「い、いえ・・・本当に」
かぐやが手を差し出そうとすると、平太は後ろへ下がった。
ただ遠慮しているのではない、かぐやの力に恐れをいただいているのだ。
しかし血を失い、すでに顔が白くなってきている。
このままにしてはおけない。
「隊長の言うことが聞けないの!」
平太はすくみあがって、かぐやの言うとおり従った。