坂道では自転車を降りて
「かせよ。」
笑っているのを隠すためわざとぶっきらぼうな顔をして、俺はぞうきんをしぼる。
「ありがとう。」
彼女は俺と目線も会わせず礼をいうと、すぐにぞうきんをひったくり、またスタスタと部室へ戻っていった。部室に戻ると、彼女は床を拭いた。

俺が自分の本に戻るとすぐに、また彼女が来た。
「ごめん。もう一回。」
申し訳なさそうに言う。今度は使ったぞうきんを洗うからだ。思わず鼻で笑ってしまったら、ムッとされた。並んで歩きながら言う。

「やっとくから、おとなしくしとけよ。」
「迷惑かけてごめんなさい。でも、自分でできることは自分でする。」
きっぱりと言い切る。
「はいはい、そうですか。」
 全部、頼まれたってたいした手間じゃないのに、これじゃあかえって面倒なんだけど。
「だから、出来ないところだけ、手伝って。。。。ください。お願いします。」
 俯いた。
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