坂道では自転車を降りて
「9月の本は、多分あれにはならないよ。」
「どうして?」
「彼女にやる気があるなら、もっと良いのを書いて来るよ。多分。」
彼女はしばらく茫然として、納得したように頷いた。
「。。。そうだね。確かに。」

「なんか、ごめん。私、余計な事したみたいだね。」
「いや、俺は嬉しかったよ。あの会議で自分がやりたかった事や書きたかったことに気付いたし、それを最後の公演で書かせてもらえてるんだから。」

「演劇部のみんなはどう思ってるかな?」
「さあ、生駒さんの本が実現が難しい事は1年達も分かってるだろうし、アレを俺が無理矢理完成さちゃうのもなんだか気が引けたんだ。あちこち切り落とすしかないからな。」
「2年生は?」
「うーん。俺の今から書く本が、他の本より面白ければ良いんだろ?」
「そりゃそうだけど。。実は私、すごい難しい事やらせてる?」
「やらされてるね。笑。」
「。。。。ごめん。」
「まあ、重く考えるな。ただの部活だし、君と原とも連帯責任で良いんだろ?」
「もちろん。」

「さて、気分転換したいな。また鉄棒でもする?」
俺が尋ねると、彼女はポケットから野球ボールくらいのゴムボールをとり出した。
「今日はキャッチボール?」
毎日、楽しませてくれるな。
「ボール投げ。好きなんだ。小さい頃はお父さんとよくやったの。」
照れ笑いしながら言う。キャッチボールじゃなくてボール投げか。
「OK。やろう。」

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