坂道では自転車を降りて

 調べてみると、なんと2週間前だった。最後に会ってから一週間以上、電話もメールもなかったことになる。彼女も彼女だけど、なんかこれ、やばくないかな。あわてて月曜は一緒に帰りたいとメールすると、活動が終わったらメールして欲しいと返事がきた。

 その日は主だった役者が風邪で休んでいたりして、活動は早くに切り上げになった。原もだるいと言ってさっさと帰ってしまった。俺は彼女を探したが、演劇部には来ていないようだった。美術部にでも行っているのか。中途半端な時間に呼び出しても悪いが、待っているのも暇なので、彼女を探しに美術室へ行く。美術部で絵を描いている彼女を見るのも悪くない。しかし、美術室には誰もおらず、寒々しい事この上なかった。

 彼女は何処で何をしてるんだろう。演劇部を休んで、図書室で時間をつぶすのも、なんだか変な話だ。
 多分、西棟なんだろうな。でも西棟の何処にいるのか知らない。とりあえず、メールする。

『活動、終わってしまった。君は?いつ頃終わりそう?』
すぐに電話がかかって来た。
「今から片付けて行くよ。部室で待ってて。」
「急がなくていいよ。それより何処にいるの?」
「え?。。えっと。。文芸部の部室。」
なんか言いにくそうだ。
「文芸部?」

それにしても、なんでまたそんなところに?それで西棟か。
「俺が行くよ。」
「すぐ部室に行くから、待ってて。帰っちゃヤだよ。」
「いや俺、今、南。。。。。」
返事を聞く前に切れた。なんだよ。行ったらまずいのか?電話を切って歩き出す。それにしても文芸部で何やってんだろう?彼女は文章まで書くのか。
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