坂道では自転車を降りて
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
次の日の朝、俺は下駄箱の隅によけてあった石を取り出した。顔が描いてある石。家から持って来たメモ用紙に『おはよう』とだけ書いた。昨日からずっと考えていたけど、結局それ以外に書く言葉が見つからなかった。彼女の上履きに入れ、その上に石を置く。こうやって少しずつ元に戻すんだ。
彼女は言っていた通り、ちゃんと学校へ来て、普通に授業を受けていた。今日は水曜だけど、一緒に帰れるんだろうか。
昼休み、織田がやってきた。彼女の昨日の感じだと図書室へ行っても無駄だろう。暑いだけだ。織田と話すことにした。
「昨日、一緒に帰らなかったんですか?」
「昨日は結局、彼女は学校へ来なかったんだ。」
「俺が電話した時には、昼過ぎには学校へ行くって言ってたのに。元気そうでしたよ。」
「お前にもそう言ったのか。」
だったら、その時は本当にそのつもりだったのか。どうして突然気が変わったんだろう。
「先輩、昨日、今西を殴ったんですか?」
「あー。。。うん。誰に聞いたの?」
「本人です。まあ、しょうがないですけど。先輩はもうあまり関わらない方がいいと思いますよ。」
「沼田にも言われたよ。もうやらない。昨日は俺と沼田がケンカして、今西は止めに入ってとばっちりを受けた事になってる。お前も口裏合わせといて。」
「そうなんですか。わかりました。で、あの、大野先輩は?結局、どうなったんですか?」