坂道では自転車を降りて
「私の事はもう放っといて。」
絞り出すように言うと、彼女は俺の手を振りほどいて逃げようと暴れ始めた。逃がさないように強く握った腕が、折れてしまいそうで怖い。
「あなたが私を好きなのも、心配してくれてるのもわかってる。でも、上手くできないの。どうしたらいいか分からないの。心配されるのも、がっかりされるのも、怒られるのも、、、もう嫌。あなただって、もう嫌でしょう?放っといて。私を見ないで。」
簡単に振りほどけないと知ると、なりふり構わず暴れ始めた。振り回した鞄が俺の肩に当たる。
「痛って。。止めろよっ。。」
もう一度飛んで来た鞄を避けながら、もう一本の腕を掴んだ。
「離して。」
「待てって。乱暴すんなよっ。」
「いやぁっ。離してっ。」
すごい力だ。本気であがけば結構強いじゃないか。っていうか、こんな声出されたら、俺、捕まっちゃうよ。
「落ち着けよ。怒らないから。怒ってないから。」
「いやっ。帰る。もう帰るから、離してっ。」
このままじゃだめだ。暴れる彼女をなんとか抱きすくめる。腕ごと抱き締められて身動きがとれなくなった彼女は、唸り声をあげながらもがいた。熱い弾力のある躯。ふわふわの胸。汗の滲んだ首筋に張り付いた髪。女の子の唸り声なんてAVでしか聞いた事ない。俺の躯の中でヤバいスイッチが入る。こんなスイッチ入れてる場合じゃないのに、思考が麻痺して行く。ただ必死に彼女を捕まえた。何の為にとかどうしたらとか、もう考えられない。