坂道では自転車を降りて
「ひゃうっ。。ぁ。。」
ぎゅっと抱き締めると彼女の身体から一瞬、力が抜けた。震える喉からは嗚咽が漏れ始めた。
「もうやだ。離して。帰りたい。帰りたい。誰にも、会い、たっく、な、、うぁっ。」
泣き叫びながら、足をバタバタさせる。でも、明らかに力は弱くなった。多分、涙もこぼれてるだろう。
「ごめん。多恵。落ち着いて。」
「こんなのズルい。離して!帰らせて!」
「多恵。」
「帰りたい。帰らせて。離して。。。ぅぁ。。。。」
「。。。。ごめん。この手は離せない。」
「もうやだ。別れるって言ったじゃん。別れてくれるって言ったじゃん。」
俺の腕の中ではぁはぁ言いながら、抵抗する力はどんどん弱くなった。ぐったりとしてきた彼女とは逆に、熱と力を帯びて行く俺の身体。夏の午後の日差しが暑い。
「君が、好きなんだ。」
彼女はただ泣いていて、聞こえているのかいないのか。。
「多恵。お願いだ。もう一度だけでいいから。。抱き締めさせて。俺を許して。」