坂道では自転車を降りて
俺は混乱した。何がなんだか分からないけど、何かおかしな誤解が生じているような気がする。彼女が何故、泣いているのか、何を言っているのか、ちっとも理解できない。
「ちょっと落ち着いてよ。どうして泣いてるのか教えて。」
「ごめん。泣きたくないのに。神井くんを、困らせるつもりじゃないの。女の子はすぐ泣くの。上手に我慢できないの。だから、気にしないで。放っといて。」
放っといてって、これが放っとけるわけないし、なんで泣いているのか、ちゃんと言ってくれなきゃ納得できない。
「全然、答えになってないよ。なんで泣いてるのか、ちゃんと言ってよ。」
「だって。。」
「だって?」
「神井くんが。。。」
「俺が?」
怖いのか?そうなのか?
「もう、何もしないって。もう抱き締めてくれないって。」
はぁ?
そんなこと言ってねぇじゃん。なんでそんな話になってるんだ?そもそも、君が先に俺から離れて行ったんだ。距離をとって、よそよそしい態度で。怯えて震えて。今だって、君が勝手に倉庫に逃げて来たんじゃないか。俺はびっくりして彼女を眺めた。彼女は相変わらず壁に向かってシクシク泣いている。
もしかしてずっと待ってたのか?あの日から、俺が抱き締めるのをずっと待ってたのか?
「君は、本当は俺に抱き締めて欲しかったの?」
すると今度は彼女は首を横に振った。違うのか?だったら何が悲しいんだ?
「え、だったら、何なの?」
「もういいの。」
「よくないよ。なんなんだよ。」
イライラした声がでてしまった。彼女の肩が怯えてビクッと震える。思わず舌打ちしてしまう。ああもう。何やってんだよ俺。