坂道では自転車を降りて
教室へ戻ると人はずいぶんと減っていた。彼女に帰り支度をさせて、並んで自転車を走らせる。彼女の家の前で、昼飯を食べたら迎えに来ると告げたら、ひとりで行かれると言った。必ず来るように釘を刺した。
家に戻って昼飯を食べて、部屋を片付けながら、彼女を待つ。ちゃんと来るだろうか。電話してみようか。いや、待っていれば来る筈だ。別れてから1時間しか経ってないんだから、まだ来なくてもおかしくない。時計がちっとも進まない。しびれを切らして電話すると、今家を出る所だと言われた。やっぱり迎えに行けばよかったかなぁ。
電話からさらに10分以上経ってから、彼女はやってきた。自転車なら5分の筈なのに、なんでこんなに時間かかるのかと思っていたら、コンビニで菓子を買って来たらしい。そんなのどうでもいいのに。彼女は襟付の袖無しシャツに、部で作業用にしていたオーバーオールを着ていた。懐かしい姿になんだかすごくホッとした。
まずは、彼女の今の勉強のやり方について教えてもらった。常々疑問に思ってたことだ。
「まずは君の勉強だ。スケジュールはどうなってんの?」
「スケジュールは、とくにない。」
「志望校は決まってんの?どのくらい勉強すれば良いか、分かってんの?」
「志望校も特に決めてない。」
「模試とか受けるだろ?どうしてんの?」「適当に。」
「じゃあ、見学とかは?」「まだどこも。」
「参考書とかドリルは?」
聞けば聞く程、何も考えてないというか、何もしていない事がわかった。参考書も問題集もほとんど持っていなかった。