坂道では自転車を降りて
「わかった。今日はとりあえず、夏休みの残りの目標とスケジュールを立てよう。あと、数学のドリルを買いに行こう。」
「はい。」
「スケジュールを立てて、毎日ちゃんと勉強しなさい。」
「でも、数学や物理はスルッと解ける時と、全然解けない時があるから、一日何ページって決められないよ。」
「うーん。俺は数学は分からなかったらどんどん答えを見て覚えちゃうだけなんだけど、君の場合はそれじゃだめなの?俺にも分からないから、明日誰かに聞こう。明日も学校にみんな来るんだろ?物理ももう少し必要なんじゃないか?」
「そうだね。」
そういえば、彼女はほとんど金を使わない。雑誌やアクセサリを買っているのを見た事がないし、買い食いもしない。デートの時も文具を延々と眺めていたのに、結局一つも買わなかった。あの独特のファッションは、おばさんのお古というオチだ。上品でよく似合ってて、おしゃれなくらいだったけど(おそらく実際に高価なんだろう)、17歳の娘が流行を追いかけたり、自分の好きな服を選んで買わないのは不思議だ。鞄も財布も無味乾燥。鞄にキーホルダーさえついてない。家が貧乏なのか?でもウチと同じくらいの一軒家に住んでるし、家計が苦しいようには見えない。どうなってるんだろう。
「勉強は自分に対する投資だ。必要な金はちゃんと親に貰え。何万もするわけじゃない。」
「わかった。」
本当は勉強だけに限った話ではないんだけどな。
彼女の勉強に関して目処を立てるだけで、小一時間かかってしまった。でも、まあこれで一つ。不安な要素が取り除かれる筈だ。休憩のためにお茶にする。