坂道では自転車を降りて

 お茶の後は勉強だ。とりあえずは1時間ほど、目標を立てて勉強すると、彼女はわりあい集中して勉強した。調子がいいと鼻歌が出るらしい。1時間経過したところで、目標を見直す。このペースなら行けそうだ。

「ちゃんとできてるじゃん。この調子であと30分頑張りな。」
できればあと1時間はやらせたい所だが、帰宅が遅くなってしまう。
「うーん。あと30分ねぇ。」
すごく嫌そう。でもこの程度で終わりにするわけにはいかない。

「がんばれ。多恵。」
「はい。」
「とりあえずは1時間頑張ったから、ご褒美にキスとか、しとく?」
彼女はきょとんとした顔で俺をみた。そしてはにかみながら、首を振った。
「いい、全部、終わってからにする。」
「よし、がんばれ。」

 なんとか励まし、時間ギリギリまで頑張らせる。なんか俺、家庭教師みたいになってるな。バイト料が欲しいくらいだ。鼻歌を歌いながら勉強する彼女の横顔を眺めながら、自分の勉強を始めた。

 気付くと、彼女が床に倒れていた。正確には寝そべっていただけだが。一瞬ドキッとする。
「終わったのか?」
「終わった。」
「そうか。よくやったな。」
「うん。褒めて。」
素直に甘えてきた。ようやく彼女が戻ってきた実感が湧く。
「まあ、これが普通だけどな。」
「ちぇっ。神井くんは、終わったの?」
「いや、途中。キリのいい所までは、まだかかると思う。」
「そっか。私、そろそろ帰らないと。」
「そうだな。」
「。。。。」

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