坂道では自転車を降りて

 俺は脚本・演出志望で入部した。今までは既成の脚本を使っての役者しかやらせてもらってなかったが、本当は自分で脚本が書きたい。冬休みに家で書いたものを仕上げるため、ここ数日は毎日ここに脚本を書きに来ていた。資材の移動ぐらい俺だってできるが、裏方ではない俺にはおよびがかからなった。毎日、俺が部室にいた事も彼女は気付いていなかったんだろう。仲良く作業する声になんだかざらついた気分になり、俺は場所を変える事にして、荷物をまとめて部室を出た。
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