坂道では自転車を降りて
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 文化祭の2日目。3年6組の劇は、大成功だった。こんなクラスの劇に成功も何もないといえばないが、上手く行った所も上手く行かなかった所も、みんなそれぞれが全力で楽しんだ。それで良いと思った。体育館脇の駐車場に皆で大道具を片付けながら、クラス全員で記念写真を撮る。お約束の展開だが、俺達はやっぱり感無量なのだ。

 舞台の余韻に浸りながら、ダラダラと後片付けにとりかかると、後ろから声をかけられた。可愛らしい声に振り向くと、他校の女子が俺に笑いかけている。あれ、見たことあるような。誰だったっけ。

「もしかして、私の顔を覚えていらっしゃらないんですね。」
この話し方、あの子だ。痴漢にあった。
「あー、いや。今年も来たんだ。1人?」
「いえ、友達と来ました。」
早く名前を思い出せ。なんだっけ。な??か??
「東です。」
「そうそう、東さん。あの、なんだっけ、あの子と来たの?」
「はい。」

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