坂道では自転車を降りて
「もう終わりだな。後夜祭はどうする?」
「うーん。私、去年も一昨年も出てないんだよね。面白い?」
「あー。君が面白いかどうかは、微妙。去年は普通にゲームとか、あとは音楽だったけど、まあ、お祭りだな。」
「神井くんはどうしたい?」
「多恵と一緒にいたい。後夜祭に参加しても良いし、屋上から眺めても良いし。帰るなら一緒に帰るし、教室に残っても良いよ。」
「教室って、どこの?」
「だな。。とりあえず、後夜祭行ってみようか。面白くなかったら抜けだそう。」
「うん。」
後夜祭はあちらこちらで局所的に盛り上がっていたが、イマイチ解け込めなかった俺達は、輪から抜けて、非常階段を使って西棟の屋上に上がった。グラウンドが見渡せるここは本来であれば立ち入り禁止の場所だ。だが、後夜祭の夜にはカップルが集う場所として知られていた。グラウンドで行われる後夜祭を抜け出して、少し高い所から下界を眺めるのは、さぞかしロマンチックな夜だろう。やっかみを買いそうな恋人同士っぽいイベントは、俺達には無縁だと思っていたのだが。
元来、人ごみやパーティーの類いが苦手な多恵は、後夜祭のテンションにあてられて、すぐに疲れてしまった。中庭の暗闇にシケこんで、なくもない下心を疑われるのも面白くない。結局ここが無難なのか。