坂道では自転車を降りて
非常階段の踊り場ごとに一組ずつカップルがいる。屋上にも2人組ずつ等間隔で並んでいて、気まずいと言えば気まずいが、なんだか笑ってしまった。隙間の開いたところに陣取り、グラウンドの後夜祭を眺める。生徒会の連中が考えたイベントが、微妙なテンションで進行していた。どのくらいの生徒が参加しているのだろうか。
屋上は風が通るからだろうか、少し肌寒い。
「寒くないか?」
「うん。大丈夫。」
一息ついた頃、多恵がポツポツと話しだした。
「写真部の部室であったこと、もう知ってると思ってた。」
「いや、だいたいは聞いてる。」
「私がいけなかったの。」
彼女はあの日のことを順を追って話し始めた。今西が何度も教室に来て少し迷惑に思っていたこと。一度きりと言われて、部室にのこのこついて行ったこと。部室に着いたら他に誰もいなくて驚いたこと。そこで帰ると言いづらくて、そのまま部室で写真を見たこと。少しして帰ると言ったら今西に腕を掴まれて、すごく怖かったこと。逃げようと暴れたら机上のカメラを床に落としてしまったこと。怒った今西に小突かれて転んでしまい、恐怖で茫然としていたら、織田が部室に現れたこと。