君色ドラマチック
『いえ、私はパターンを引いただけです。裁断や縫製は、全部結城さんがやったんですもの』
『そのパターンが、一番苦手なんですよ。かといってそこを適当にしたら、良いものはできない。これだけは失敗するわけにはいかないですからね。助かりました』
結城がこのドレスのデザインをして、生地を選んで、一つ一つのパーツに裁断して、ミシンを踏んでくれたんだ。
きっとこの数えきれないビーズのひとつひとつを、私のことを想いながら縫い付けてくれたんだね。
だから忙しそうにしていたのに、そんな結城の大きな愛情に、私は欠片も気がつかなかった。
抱き合わなくたって、デートをしなくたって、結城はずっと、私のことを見てくれていた。
ずっと、想っていてくれたんだ。
「私に、このドレスを着る価値がある?」
泣きながらたずねる私に、結城は微笑んでうなずく。
「私、色がわからないの」
「知っているよ」
「パターンしか引けない。お肉も焼けないし、結城に迷惑かけてばかりで、何の力にもなれない」
「そんなことない」
結城はそっと私を抱き寄せ、言い聞かせるように言った。
「慧がいるから、俺はこの仕事をしていられるんだ。慧のことを好きだと思うたび、俺の中に新しい色が増えていく。それを俺は形にしているだけ」
結城の魔法の声が、私に降り注ぐ。