君色ドラマチック
コンパクトな白の上半身の胸には大きなリボン。
問題はそのスカート部分。
ガーゼの下にチュールと見られる素材がチラ見えするようになっており、それが斜めの線を描くように何段にも重なっている。
それだけではなく、手には訳のわからないスタッズがついたブレスレットが描かれていて、そこから鎖がじゃらじゃらと伸び、手首から腰、胸、首、背中へと巻き付いている。
しかも、色はわからないけど、胸からお腹にかけて血の痕みたいなものが描かれていて……。
「……パンクだね」
「パンクだろ?」
いや、結城さん……ふんぞり返ってるけど。ほめてないし。
「卒業制作なんだよね?」
「だよ」
「面白いけど……せめて、この血?みたいなのはやめておこうよ」
まるでハロウィンの衣装みたいだから。死の沼から這い出してきた花嫁って感じ?
「ダメかな」
「ダメじゃないよ。面白いと思う。けど、この血があると、狙いすぎって感じ。パンクで有名なVivienne Westwoodの初期のドレスは、個性的なパターンを使っているけど、どこか中世的なイメージで、誰が見ても綺麗と思えるものが多いでしょう?」
だからお願い。ガーゼなんて無謀な生地を使うのも、血みたいな柄もやめて。
ダメだしされた結城が怒りだしたらどうしようと思ったけど、私だって卒業制作でこんな物騒なドレス、作りたくない。