君色ドラマチック


「おいしい!私が男だったら結城くんにお嫁さんに来てほしいよ」

「あはは、そうか」


食事が済んで作業の時間になると、いくら結城でもじっと黙り込むことがある。

そんな時間も、まったく苦痛じゃなかった。

いつもにこにこ笑っている結城の真剣な瞳を見るのが、いつの間にか好きになっていたのに気づくのに時間はかからなかった。

結城がやたらとモテる理由が、少しわかったような気がした。



矢のように時は過ぎ、あっという間に卒業制作を発表する、卒業ファッションショーの日がやってきた。

ドレスを着るモデルは私ではなく、あらかじめお願いしておいた同じ専門学校のモデルコースの女子。

観客は校内学生の他、一般人やアパレルメーカーの社員もいる。

私たちアパレルデザイン科の学生は、舞台袖でモニターを見ながら待機していた。

もうすぐショーが始まる。

自分が舞台に上がるわけでもないのに、胸が高鳴って手のひらが汗ばんでいた。


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