君色ドラマチック
「失礼します」
「はい。初めまして。デザイン部の桜井です」
ミーティングルームで先に座っていた先輩は、立ち上がって握手を求めてきた。
そっとその手を握って見上げる。
桜井さんは結城とは真逆のつり目で、韓国のイケメン俳優みたいな顔だ。
耳が尖っているからか、ちょっとだけ宇宙人を彷彿とさせる。
椅子をすすめられ、腰を下ろす。
「急な話で悪いね」
「いえ。こちらの疾患のことは結城から聞かれていると思いますが、どうぞよろしくお願いします」
「ああ、色弱なんだってね」
デリカシーのないモノの言い方にびっくりして目を見開いてしまった。
ちっとも悪いと思っていないような表情が、途端に憎くなる。
「大丈夫。じゃあ細かい指示出すから、メモって」
そんな私のことなどおかまいなし、彼は勝手に話を進めていく。
細かいと言われたので、どんなに難しい注文が来るかと思ったけど、意外に桜井さんの話は短く終わった。
結城に比べて、自分の洋服への愛情が少し薄いような……いや、結城の洋服愛が異常なのか。
とにかく無駄な比喩のない彼の指示は簡潔で、わかりやすかった。