君色ドラマチック
「わかりました。では出来上がったら、社内メールで送ります」
「うん。一応個人の電話番号も聞いておいていいかな」
なるほど、急に連絡をとらなきゃならない場合もありえるものね。
スマホを取り出し、連絡先を交換すると、桜井さんは薄く笑った。
「ねえ、きみって結城とつきあってるの?専門学校からの知り合いなんだって?」
「え……」
不躾な質問。やっぱりこの人、仕事はできるのかもしれないけど、ちょっと失礼。
私たちがつきあっていることは、社内では公にしていない。
どっちが言いだしたわけでもないけれど、自然とそういうふうになっていた。
社内恋愛なんて、他人に気を遣わせるだけのような気がして。
しかも、女子社員の井戸端会議の、格好のネタになることも目に見えていたから。
「いえ……親友……みたいなものです」
自分で答えて、内心驚いた。
『親友』。そのフレーズは、『恋人』よりも、私と結城の間を正しく表しているような気がしたから。
「そうか。じゃあ、この仕事が終わったら、飲みに誘っても問題ないね」
「えっ」
「パターンの出来栄えによっては、俺がおごってやるよ」