君色ドラマチック
『プロポーズされたらコレ!すぐ使える婚姻届付き!』
無駄に可愛らしい声のナレーションが鼻につく。
「うるさいっ!」
乱暴にリモコンの電源ボタンを叩くと、テレビ画面は真っ黒に。
別に、うらやましくなんてないんだから!
だいたい、日本の結婚なんて制度、古臭いのよ。
ただ……。
一人の人に人生の伴侶として選ばれたという事実は、ちょっとだけうらやましいけど。
だって、自分の居場所が、一生約束されたみたいじゃない?
気がつけば、鼻の奥がつんと痛んで、視界がぼやけていた。
やだ……私、ちょっと情緒不安定かも。
こういう時は飲もう。飲んで忘れよう。
立ち上がり、冷蔵庫から買い置きしてあるビールを取り出す。
プルタブを開け、一気に飲み干した。
それからお風呂に入り、ベッドに入る間、何度もスマホを確認したけど、結城からの連絡はない。
まあ、帰ったら連絡してとも言わなかったから、当然と言えば当然だけど。
それでも私はほんの少し期待して、枕元にスマホを置いて、早々にベッドの中に入って灯りを消した。
お酒のおかげか、疲れのおかげか、なんとか眠ることはできたけど……。
翌朝目覚めた私のスマホには、やっぱり結城からの連絡は、なかった。