君色ドラマチック


口に入れると、アボカドクリームと甘エビがとろりと舌の上でとろける。


「おいしいです!」


こんなの、友人の結婚式でも食べたことがない。


「だろ。で、さっきの続きだけど」


櫻井さんも同じものを咀嚼し、飲み込む。

そして話の続きをした。


「結城さ、今のブランドの仕事以外に、自分のデザインした服を自費で作ってるらしい」

「え……っと?」


それはつまり?


「おそらく、独立しようとしているんじゃないか。何点か作って準備ができたら、売り込みに行くつもりとか。杉原、何も聞いてない?」


聞いてない。

つまり、結城は今の会社から独立して、自分のブランドを持とうとしているってこと?


「詳しくは教えてくれなかったけど、3ヶ月くらいまえに、突然『外部のパタンナーを紹介してくれ』って言われたんだよ。その代り、杉原っていう優秀なパタンナーを紹介するからって。だから、俺のブランドを受け持ってもらっていたパタンナーを紹介してやったんだ。それがさっきの女性。彼女、腕は確かだから」


少し早口な櫻井さんの言葉を咀嚼するのには、少し時間がかかった。

要するに、私が櫻井さんの仕事を頼まれたのは、櫻井さんのパタンナーを結城が紹介してもらったから、その代わりだった。そういうこと?


< 47 / 107 >

この作品をシェア

pagetop