君色ドラマチック
口に入れると、アボカドクリームと甘エビがとろりと舌の上でとろける。
「おいしいです!」
こんなの、友人の結婚式でも食べたことがない。
「だろ。で、さっきの続きだけど」
櫻井さんも同じものを咀嚼し、飲み込む。
そして話の続きをした。
「結城さ、今のブランドの仕事以外に、自分のデザインした服を自費で作ってるらしい」
「え……っと?」
それはつまり?
「おそらく、独立しようとしているんじゃないか。何点か作って準備ができたら、売り込みに行くつもりとか。杉原、何も聞いてない?」
聞いてない。
つまり、結城は今の会社から独立して、自分のブランドを持とうとしているってこと?
「詳しくは教えてくれなかったけど、3ヶ月くらいまえに、突然『外部のパタンナーを紹介してくれ』って言われたんだよ。その代り、杉原っていう優秀なパタンナーを紹介するからって。だから、俺のブランドを受け持ってもらっていたパタンナーを紹介してやったんだ。それがさっきの女性。彼女、腕は確かだから」
少し早口な櫻井さんの言葉を咀嚼するのには、少し時間がかかった。
要するに、私が櫻井さんの仕事を頼まれたのは、櫻井さんのパタンナーを結城が紹介してもらったから、その代わりだった。そういうこと?