君色ドラマチック
「とにかく、謝るよ。お前は才能あるパタンナーだ」
「恐縮です」
本心だかどうか、わかったものじゃない。
「そこで相談なんだが」
私の機嫌をとるような高い声色が、いつもの低いトーンに変わった。
思わず、無理やり口に入れていたサラダを飲み込む。
顔を上げると、櫻井さんが口を開く。
「杉原。俺の専属パタンナーになってくれないか」
言っている意味はわかったのだけど。
「……は……?」
あまりに唐突すぎて、どう返事をしたら良いのか、判断できなかった。
「実は俺も、そろそろ独立しようかと考えてる」
「ええっ?」
「自分のブランドを立ち上げるんだ。もう上司に話もしてあるし、融資の話もまとまりそうだ」
まさか。そんなの、社内の噂でも聞いたことがない。
って……それは単に私が社内の人間とあまり話をしないからなのかもしれないけど。
「しかしまだ、パタンナーが決まってなかったんだ。というか、最初軌道に乗るまでは、自分でやる気でいたから」
「はあ」
「けれど、お前に今回のパターンを作ってもらって、気が変わった。これだけ的確にデザイナーの意志を反映できる人間は、お前しかいない」