君色ドラマチック


「う……っ」


ひどい頭痛がする。どうしてだろう。

まぶたを透過してくる光が明るい。

朝だ。会社に行かなくちゃ……。

のっそりと重い体を起こすと、すぐに違和感を感じた。

裸の胸に、長い髪がたゆたい、落ちる。

私、寝るときはちゃんとパジャマを着用する派なんだけど……。

ごしごしと目をこすり、辺りを見回す。

するとそこは、茶と黒の家具で統一された、白い壁のオシャレな一室だった。

もちろん、見たことはない。

そして気づく。自分がいるのも、全く知らない香りのする、ベッドの上だと。


「えっ、ええっ!?」


っていうか、ここ、どこ!?

そして私はどうして裸で……。

昨夜のことを必死で思い出す。

たしか、櫻井さんにお高いフレンチを御馳走になって、その間の話題でモヤモヤしすぎて、ワインをたくさん飲んで……。

たしか、メインはキジのローストだった。

そんな余分なことは覚えているのに、その後の記憶があやふやで、はっきりと思いだせない。

さあっと全身から血の気が引いていく。

まさか私、泥酔して櫻井さんにお持ち帰りされちゃったんじゃあ……。


< 53 / 107 >

この作品をシェア

pagetop