君色ドラマチック
「おい、そろそろ起きろって……起きてたか」
「ぎゃああああ!!」
何の前触れもなく開いたドアから、ちゃんと着替え済の櫻井さんが顔をのぞかせる。
私は咄嗟に、シーツを手繰り寄せて体を隠した。
「なんだその妖怪を発見したような悲鳴」
「だだだだ、だって……」
「何も覚えてないか」
櫻井さんはにやりと笑い、ベッドに腰をおろす。
私はベッドのふちまで、にじりにじり逃げた。
「ひどいな。俺たちは昨日、想いが通じあったんじゃないか」
「ほぅ!?」
ということは……ということは……やっぱり、私……。
最低だ。もう舌を噛み切って死のう。
「失礼な奴だな。そんな世界の終わりみたいな顔するなよ」
「へう……」
「大丈夫だって。冗談。お前、ワインはこぼすしゲロするしで大変だったんだぞ。仕方なく脱がせたけど、なんだそのガリガリの体。だからもっと食えってんだ」
「じゃ、じゃあ……」
「やってない。ぐったりした酔っぱらいとやっても、楽しくないから」
そう聞いて、やっとホッとした。
どうやらものすごい醜態をさらしたらしいけど、とにかく、いたしてはおらぬ、と。