君色ドラマチック


「ここは俺の部屋。着替えはやるから、さっさと出社しろ。遅刻するぞ」


櫻井さんが指さす先には、ポールハンガーが。

そこに、櫻井さんのブランドの服がかけられていた。

いつもの私なら絶対に着ない、ベージュのジャケットにミントグリーンのスカート。


「サンプルですか?」

「そう。返さなくていいから。あと、その服じゃお前の履いていた靴とあわないから、靴も履いてけ。玄関に置いてあるから」


そうね、服はトータルコーディネートが大事だもんね……。

昨日履いていた靴は、Vivienne Westwoodの、太いストラップが足の甲で交差する、やたらとヒールの高い、しかも真っ黄色の靴だった。

たしかに、今時OLさんに人気の櫻井さんのブランドの服とは、どれとも合わないだろう。


「本当はバッグも納得いかないけど、中身を入れ替えて全部持っていくのは大変だろうからな」


そう言い、櫻井さんは部屋を出て行った。

あのひと……失礼で地球の常識が通じない宇宙人とばかり思っていたけど、実は親切……?

だって、迷惑かけたのに路上に放置しないで、自分の部屋に上げてくれたんだものね。


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