君色ドラマチック


「あら~、あらあら~!どうしたの慧ちゃん!今日は爽やかOLじゃないの~!」


どうにかメイクを直して会社に滑り込みセーフした私を、課長が絶賛した。


「ほんとだ可愛い!でも先輩、どうして髪はボサボサのままなんですか?」

「はっ、しまった。忘れてた……」

「私、スタイリング剤持ってますよ。あとこれ、貸してあげます」


後輩から差し出されたのは、大きなリボンがついたバナナクリップ。


「ありがとう、助かるよ」


素直にそれを借りると、後輩たちがにやにやして、髪を束ねる私をのぞきこむ。


「で?昨日はどこにお泊まりだったんですか?」

「えっ?」


ぎくりとすると、後輩たちは的を射たとばかりに、詰め寄ってくる。


「それ、櫻井さんのブランドですよね?もしかして、今回の仕事で、二人は急接近して……」

「泥酔後お持ち帰りされて、そこから恋が始まる……」

「オフィスラブ!?ベタなオフィスラブなの!?」


よくピンクの背表紙の本を愛読している課長まで、最後に乗りだしてきて鼻息を荒げた。


「違いますっ!これは、その、納期よりだいぶ早く仕上げたから、ご褒美にサンプルをもらっただけで」

「へえ~」

「寝坊しただけなんだって!お願いわかって!違うの!」


必死で釈明すればするほど、嘘くさくなっていく。

やがて課長が我に返って止めてくれるまで、後輩の私イジリは続いたのだった。


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