君色ドラマチック


肝心の結城の新デザインのパターンは相変わらずはかどらない。

昨夜あんな話を聞いてしまったからか、二日酔いのせいか、CADに向かうと頭痛がした。


「社会人失格だわ……」


自己嫌悪に陥ったまま、昼休みを迎えてしまった。


「慧ちゃん、たまには社食でもどう?」

「あ、はい」


課長が誘ってくれたので、食欲はなかったけど、ご一緒することに。

一緒に社食に向かう廊下で、別の部署の男性社員二人組とすれ違う。

すると、普段は感じたことのない視線を感じた。

きっと、オネエ課長が隣にいるからだよね。

目立つもんなあ、課長……。

背後からこそこそと、何かを話すような声が聞こえてくる。


「あなたのこと話してるわよ」

「はい?」


課長が肘でツンツンとついてくる。


「昨日までとは別人だもの。『あんな可愛い子、うちの会社にいたっけ?』って聞こえたわよ」

「まさか」


たしかに服にあわせて、メイクもナチュラルに見えるように少し変えたけど、それだけで顔自体が変わるわけじゃない。


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