君色ドラマチック
「あんた、パタンナーのくせに服の力を馬鹿にしちゃダメよ」
たしかに、服や髪型で個人の印象がだいぶ変わるってことはわかるけど。
「バカになんてしていませんけど、そんなに噂されるほど綺麗でもないですよ」
「私は地獄耳なの。絶対に聞き間違いじゃないわ」
「はあ……」
「それに、慧ちゃんは綺麗よ。いつも綺麗だけど、今日は万人受けする格好になってるのよね」
ちなみにいつもは結城がデザインした、モード系の黒一色のワンピースに柄タイツを履いて、真っ赤な口紅を塗っていたりする。
そういう格好が好きだから何とも思わなかったけど、たしかに一般人から見たらモテにくい服装だったかも……。
やがて、ガラス張りの窓から街の景色が見える、明るい食堂に着いた。
ビュッフェスタイルのうちの社食は社員に人気があり、いつも活気に溢れている。
私はサラダと冷奴をとり、課長より一足先に席につき、ぼんやり窓の外を眺めていた。
「あら、先に食べてて良かったのに」
「いえ、大丈夫……」
課長の声がして顔を上げると。
「へっ!?」
なぜか課長の横に、結城が昼食のトレーを持って立っていた。