君色ドラマチック
「一人だっていうから、誘っちゃった。美男がいると、ランチがよりおいしくなるわよね~」
にこにこしている課長の横で、結城が私の変わり果てた姿を見て目を丸くしている。
「慧……だよな?」
課長の手前愛想笑をするけど、冷汗が背中をつたう。
変に思われた。絶対、変に思われた。
「そうよ、可愛いでしょ。櫻井くんにサンプルをもらったんだって。急な仕事だったのに、頑張ったものね~」
「あ、はは、そう。そうなんです。もらったの。だからちょっと着てみようかしらって」
丸いテーブルを囲んで3人で座る。
結城はじっと私を見て、冷静な顔で言った。
「そうなんだ。櫻井さんって意外に親切で気前がいいんだな」
うっ。やっぱりいくらサンプルでも、靴までフルセットでもらったっていうのは、ちょっと苦しかったかしら。
「似合ってるでしょ」
「ええ。とっても。綺麗だね、慧」
課長に合わせたのか、結城はにこりと笑ってお世辞を言った。
なんだ、そんなものか。もう少し焼きもちを妬くような素振りを見せてくれてもいいのにな……。
そのあとは特に櫻井さんのことは話題に出ず、当たり障りのない会話をして、昼休憩は過ぎていった。