君色ドラマチック
一応彼女という名目、先日までお互いの部屋に泊まりあっていた仲なので、私の下着や服は、結城の家に置いてある。
櫻井さんのくれた服を脱ぎ、いつもの服に手を通す。
その瞬間、魔法が解けていくような不思議な感覚を覚えた。
ああ……きっと私は心のどこかで、いつもの自分じゃない自分を、楽しんでいたんだ。
キッチンの方から、良いにおいが漂ってきた。
ゆっくりとドアを開けて顔を出すと、さっきとは別人のように穏やかな顔をした結城が、私を手招きする。
「おいで」
素直に従い、テーブルにつく。
するとすぐに、目の前に美味しそうな……レバニラ炒めと、ひじきの煮物、ホウレンソウのおひたし、切り干し大根が入ったお味噌汁が出された。
メインと副菜のジャンルが違うような気もするけど、おそらく私の貧血を考慮したメニューにしてくれたんだろう。
「いただきます」
お味噌汁にそっと口をつける。
「温かい。ほっとするね」
ありきたりな感想を口にすると、結城は笑って向かいの席についた。