君色ドラマチック
「結城……」
何年もずっと見てきた顔だ。見間違えるはずがない。
そこにいたのは、間違いなく結城だった。
その存在を認めた瞬間、彼の足元から、私の世界にかかっていた灰色のフィルターが剥がれ落ちていく。
街行く人々の髪も肌も服も、その表情も。
信号機も、ビルも、夕焼けに染まっているのであろう、空も。
古ぼけた映画のようだった街が、鮮やかに輝きを放ちだす。
夕焼けはオレンジ。ビルは灰色。信号は、青と赤と黄色。
結城が辛抱強く教えてくれていた言葉が、私の無彩色の世界に色をつけていくみたい。
ああ、結城がいる私の世界は、こんなにも綺麗だったんだ。
溢れた涙がこぼれる前に、彼は私を力任せに抱きしめた。
強い力で、腕の中に閉じ込めるように。
人の多い駅前だということも忘れて、私も結城にしがみつく。
まつげから落ちた涙が、結城のシャツにシミを作った。
「こんなところで見つけるなんて、奇跡みたいだ」
私もそう思うよ。
こんなにたくさんの人で溢れかえっている街で、私を見つけてくれるなんて。