有害なる独身貴族
やがて、表でクラクションの音が鳴った。


「あ、来たかな?」


茜さんは私が入れたお茶を飲み干し、立ち上がる。


「私、運びます」


野菜が入った箱は二つ。
一つを持ち上げ、「上に乗っけてください」と言ったら、俺が持つよと店長ももう一つの箱を抱える。

そんな風にもたもたしているうちに、入り口の扉がそろそろと伺うように開いた。


「……お母さん?」


姿を見せたのは、目鼻立ちのくっきりした金髪の少年と、そばかすのある黒髪の少年。


「あら、浅黄(アサギ)」と笑顔で呼んだ茜さんが駆け寄ったのは、金髪の少年の方だった。

茜さんは浅黄くんの首根っこに腕を回して、ぎゅっと締め上げる。
すごい動作だけど、頬を頭にすり寄せる時の表情はとても愛情が溢れている。


「ウチの息子、浅黄よ。こっちはお友達の幸太くん。ふたりとも、こちらはお店の方よ。ごあいさつなさい?」

「こ、こんにちは」

「こんにちはー」


浅黄くんはうつむいてポソリポソリと言い、対照的に幸太くんはハツラツとしていた。
茜さんの息子ってイメージなら幸太くんの方だけど、違うんだな?


「あの、幸太のママが、迎えに行けって。だから、僕……」

「わかったわ。迎えに来てくれてありがとう。……じゃあ橙次、請求書頂戴。後払いでもいいわね?」

「ああ。いつでもいいよ。荷物、車まで持って行くから、扉押さえといてくれ」

「ありがとう。助かるわ」


二人の子供を急き立てるようにして、茜さんが歩き出し、その後ろを私達が続く。
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